今年の流行!麻疹・風疹!予防接種はなぜ必要?
今年は、ニュースで麻疹(はしか)や風疹が取り上げられ、全国の医療機関でワクチンの不足という事態が生じました。今回は、麻疹・風疹や当院で受けられるワクチンについて紹介します。
麻疹とは?
一般的には、『はしか』と言われますが、日本では、2015年より『排除状態』と認定されており、海外から持ち込まれる感染症(輸入感染症)とされています。空気感染で感染力は非常に高く、10~12日間の潜伏期を経て発症します。予防は、ワクチンが最善策です。1990年以降に生まれた方は定期接種が2回とされていますが、それ以前に生まれた方は、現在の定期接種回数に満たないので、追加接種をお勧めします。今回の流行も、台湾から沖縄県への旅行時に持ち込まれましたがすでに終息宣言が出されています。
風疹とは?
『三日ばしか』とも言われる風疹です。日本では11月に入ると1700名程度の感染者が報告されており、昨年度の約18倍もの患者数となっています。そして風疹の流行はまだしばらく続くと考えられます。こちらも、麻疹同様1990年以降に生まれた方は定期接種が2回とされていますが、それ以前に生まれた方は、定期接種回数に満たないので、追加接種をお勧めします。
風疹は、2~3週間の潜伏期を経て発症するため、自覚症状がない時から感染を広めてしまいます。知らない間に妊娠中の女性に感染すると、『先天性風疹症候群』を発症する確率が高く、周囲の方も予防に努める必要があります。
ワクチンの役割
予防接種には、『個人を守る』と『社会を守る』の2つの役割があります。
- 個人を守る
予防接種を受けることで、体内にウイルスや細菌に対する免疫を作り出し病気にかかりにくしたり、重症化を予防することが出来ます。
予防接種と聞くと乳幼児の為のものと思いがちですが、65歳以上の方を感染症から守るものもあります。感染症にかからず、『健康寿命の延伸』の為に欠かせないものとなっています。 - 社会を守る
多くの人が予防接種を受け免疫を獲得していると、感染者が出ても、流行を阻止することが出来ます。
また、妊婦などのワクチンを接種出来ない人を、守る事にもつながります。
予防接種には上に述べた2つの大きな役割がありますが、今回、流行となった風疹の主な患者層は30代男性でした。30代以上の方々には、幼少期に風疹の定期接種が2回と定められていなかった為、十分な免疫を獲得しておらず、感染者が続出し流行化してしまったと言えます。
個人を守るだけでなく、社会を守る為にもワクチンの接種に努めましょう。
ワクチンで予防できる病気
- 吸い込んで感染する病気
(1)飛沫感染
『近く』にいる人からの飛沫(咳や会話で飛ぶ)で感染
●風疹 ●流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) ●百日咳
●ジフテリア ●インフルエンザ
●細菌性髄膜炎(インフルエンザ菌b型感染症・肺炎球菌感染症
髄膜炎菌感染症)
(2)空気感染
『はなれていても』空気中を漂い多くの人に感染
●麻疹(はしか) ●水痘(水疱瘡) ●結核
- 経口・糞便から感染する病気
●ポリオ(急性灰白髄炎) ●ロタウイルス胃腸炎 ●A型肝炎
- 主に血液・体液を介して感染する病気
●B型肝炎 ●ヒトパピローマウイルス感染症(子宮癌など)
- そのほかの経路で感染する病気
●破傷風 ●日本脳炎
当院で受けられる予防接種一覧と主な感染症のはやる時期
※完全予約制
「田辺三菱製薬webサイトより引用」
ワクチンの種類について
- 生ワクチン
生きている病原体(細菌やウイルス)の毒性を弱めて作ったワクチン。
一度接種すると体内で、細菌やウイルスが増殖するため、発熱や発疹などの症状が出てくることがあります。 - 不活化ワクチン
病原体の感染力や毒性を失くして作ったワクチン。
紫外線やホルマリンなどで病原体の感染力や毒性を失くしたうえで、予防接種を行うが、生ワクチンのように体内で増殖することがないため、一度接種しただけでは必要な免疫を獲得できず、数回の接種が必要となる。 - トキソイド
毒素の毒性を失くし、免疫をつける力だけを残したワクチン。
菌の持つ毒素を取り出し、毒性を失くして免疫をつける力だけを残した不活化ワクチンの一種。
ワクチン接種に関する注意点
- 予防接種を受けた後30分程度は、まれに急な副反応が起こることがあります。
予防接種を受けた医療機関、またはその近くにいるか、医師とすぐ連絡を取れるようにしておきましょう。 - 予防接種後、生ワクチンでは4週間、不活化ワクチンでは1週間は副反応の出現に注意しましょう。
- 予防接種当日の入浴は可能ですが、接種部位をこすることはやめましょう。
- 予防接種後は、普段通りの生活で構いませんが、激しい運動は避けましょう。
- 接種後、接種部位の異常や体調の変化があった場合には、速やかに医師の診察を受けてください。
- ワクチンの接種間隔に注意しましょう。
原則として、不活化ワクチンは接種1週間後、生ワクチンは接種4週間後にならないと別のワクチンが受けられません。
スケジュールを立てる時は注意して下さい。