前立腺生検査について
PSAという血液検査を行ない異常値を示した場合、あるいは直腸診で前立腺に異常を認めた場合、前立腺癌か否かの確定診断目的で前立腺生検という組織検査を行います。
この検査は前立腺に細い針を刺して前立腺の細胞を採取して、癌の有無を顕微鏡で調べる病理組織検査です。
- 検査の方法
前立腺に針を刺すとき以下の2種類の方法があります。
経直腸式生検: 肛門から直腸内を経て前立腺へ針を挿入します。
経会陰式生検: 陰嚢と肛門の間の皮膚を貫いて前立腺へ針を挿入します。
以上の2種類の方法を比較して、どちらの方法が優れているかはまだはっきりしておらず、病院により様々なのが現状です。
我が国ではⅰ.の方法をとっている病院が全体の4分の3、ⅱ.の方法が4分の1です。
我が国も含めて世界的にはⅰ.の方法が主流ですが、この方法では前立腺の中で細胞を採取できない部分があり、結果として一部の癌を見落とすことが問題とされています。以上の理由で当院泌尿器科では経会陰式生検(ⅱ.の方法)を行なっています。
- 麻酔について
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針を刺す時の痛みをなくすために、脊椎麻酔という下半身麻酔を行います。
検査後翌朝までベッドの上で安静が必要です。
- 検査の場所・検査に要する時間について
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検査は手術室で行ないます。
検査に要する時間は1時間程度です。
- 生検本数(=前立腺に針を刺す本数)について
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通常針を刺す本数は6~8本ですが、癌の見落としをより少なくするため当院では生検本数を増やしています。患者さんの年齢や前立腺の大きさ、PSAの値によりますが基本的に14本以上の生検を行ないます。
他の医療機関で癌が発見されず、当科の検査で癌が発見されることがある理由の1つに生検本数が多いことがあります。
- 検査の合併症
尿や精液に血が混じることがあります。
前立腺に炎症をおこし熱がでることがあります。
尿の出が悪くなることがあります。
退院後一週間は激しい運動、過度のアルコール摂取、旅行などは控えてください。
- 入院について
検査は1泊2日入院で行います。