糖尿病と感染症
糖尿病の人は、いろいろな感染症にかかりやすいことが知られています。
特に血糖コントロールが不良な場合は感染症にかかりやすく、重症化しやすいといわれています。また、感染症にかかると血糖値が普段以上に上昇するので、コントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響がでてきてしまいます。しかし、感染症は予防することができます。3月に入り、気温も少し暖かくはなってきましたが、まだまだ油断は大敵です。今回の教室は「冬の感染症を予防しよう」というテーマで開催しました。
冬に多い感染症は、呼吸器感染症である「RSウィルス感染症」「インフルエンザ」と感染性胃腸炎である「ノロウィルス感染症」があります。どの感染症も感染すると高齢者や免疫力の低下している方は重症になることもあります。前述のように、糖尿病の方が感染症にかかりやすく、悪化しやすいと言われている理由は4つあります。
- 感染防御機能が低下していること
- 血流がわるくなる
- 神経障害があること
- より血糖値が上昇してしまうこと があげられます。
やはり、かかってしまうと治癒するまでに相当時間がかかりますので、予防できるものは徹底的に行っていきましょう。
インフルエンザやノロウィルスの予防対策を徹底することで、RSウィルス感染症をはじめ多くの感染症を予防できます。
インフルエンザの予防対策は
- 流行前のワクチン接種
- 飛沫感染対策として「咳エチケット」
- 外出後の手洗い
- 適度な湿度の保持
- 血流がわるくなる
- 人混みや繁華街への外出を控える
- インフルエンザにかかったときは、早めに医療機関に受診し、安静にして休養をとりましょう。
感染性胃腸炎である「ノロウィルス」の予防対策は
- 食事の前やトイレの後などには必ず手を洗いましょう
- 下痢や嘔吐などの症状がある方は、食品を直接に取り扱う作業をしないようにしましょう
- 子供やお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう などがあげられます。
糖尿病の方が感染症などによる発熱、下痢、嘔吐を起こしたり、食欲不振のため食事がとれない状態を「シックディ」と呼び、特別な対処が必要となることがあります。シックディでは、食べた量に比べて普段より血糖値が上昇することもあるので、自己判断で薬やインスリン注射の量を減らすのは危険です。主治医に相談し、症状が強い時には医療機関を受診することが必要です。
感染症予防の基本は、できるだけ健康的な生活を維持し、普段から感染症に対する抵抗力をつけておくことです。健康的な生活とは、例えば、体をよく動かすこと・ストレスを発散すること・栄養バランスのとれた食事をとることです。そして、糖尿病の方が健康的な生活を送る上で最も重要なことは、血糖コントロールです。よりよい血糖コントロールを続けることが、感染症予防にとっても一番効果があるのです。
感染症にかからないように、また、万が一かかったとしても早く元気になれるように今回お話したことを心掛けて過ごしてみてください。