骨を丈夫に保つには
腸内細菌について
骨折は瞬間的にその人の生活を不自由なものにしてしまいます。それまで健康だった人も、足の骨を折ると、たちどころに歩けなくなってしまいます。若い人ならすぐ治るような場合でも、高齢者では治るまでに時間がかかり、その間身体を動かせない事で、ますます骨や筋肉が弱ってしまい、ついには寝たきりの生活になってしまうことがあります。実際に骨折は、脳卒中などと共に、寝たきりになる主要原因の一角を占めています。糖尿病の方は、骨折の危険が高いともいわれており、今回の教室は「骨を丈夫に保つには」というテーマで開催しました。
皆さんもよくご存じだと思いますが、骨粗しょう症になってしまうと骨がもろくなり、わずかな衝撃でも簡単に骨折してしまいます。最も問題になるのは、大腿骨頸部という足の骨の付け根の骨折です。転んだり、太ももをひねったときに折れやすく、全く歩けなくなってしまいます。生活が一変してしまう骨折と糖尿病がどう関係するのか話をすすめていきます。
糖尿病は骨量が減少しやすくなります。それには、インスリンが深く関係しています。インスリンの役目は、ブドウ糖の利用を高め、血糖値を下げるだけではありません。インスリンが低下すると、骨代謝にさまざまな影響を与え、骨量減少が進行します。
インスリン作用不足の骨代謝への影響とは、
- 新しい骨を作りだす骨芽細胞はインスリンの働きによって増殖しますが、インスリン量が足りないと骨形成が低下してしまいます。
- インスリンの作用不足により、高血糖が持続すると、尿とともに排泄されるカルシウムが増え、体内はカルシウム不足になります。
- カルシウムは単独で食べても体内には取り入れられず、腸から吸収する際には活性型ビタミンDが必要ですが、ビタミンDを材料としてインスリンの働きによって腎臓でつくられています。やはり高血糖状態になると、その生成も低下してしまします。骨量を維持するためには、インスリンの働きが不可欠なのです。
『予防』について
食事に関してはやはり牛乳・小魚に含まれているカルシウムをたっぷりとること、カルシウムの吸収を増やしてくれるビタミンDや骨形成を促進するビタミンKの摂取も大切になります。ビタミンDは魚(脂身の多い魚)ビタミンKは小松菜などの緑黄野菜のほか納豆によく含まれています。
また、血糖コントロールのために食べ過ぎないことばかりに目がいき、必要以上に食事を減らしてはいませんか。主治医に言われた指示エネルギーをオーバーするのは良くないのですが、満たさないのもよくありません。栄養素にも気を配りながら食事をとってみてください。
加齢と共に誰でも筋力や反射神経が低下して転びやすくなります。
特に糖尿病の方は、網膜症や白内障で視力が低下していたり、動脈硬化による間歇性跛行や神経障害で足が変形している、立ちくらみをおこしやすいといったことから転倒しやすい状況にあるといえます。
対策として、
- 階段やお風呂場などには手すりをつける
- 部屋の中でつまずかないように整理整頓をする
- 照明は明るくし、スイッチは部屋の出入り口につける
- 立ち上がる時はゆっくりと立つ
- 足にあった靴をはく
「転ばぬ先の杖」のことわざとおり、常日頃から骨を丈夫にするのと同時に転倒しないように気をつけてください。