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糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の進歩と、自費診療の注意点

コロナウイルス感染症が流行し早4年経ち、2024年4月からは、コロナウイルス感染症治療にまつわる費用として、1~3割の自己負担となることが決まりました。

糖尿病治療薬についても日々刻々と変化し新しい薬が仲間入りしていますので、ご紹介したいと思います。

ご紹介するのは『GLP-1受容体作動薬』と呼ばれる薬剤です。


従来は、注射薬しかありませんでしたが内服薬が発売されたことで自己注射に抵抗のある方の治療の幅が広がったのではないでしょうか。服用方法は、1日1回起床時の空腹の状態でコップ半分(120mL以下)の水で服用し、30分以上経過してから食事を摂る事がポイントとなります。一般的な副作用として、悪心・下痢・便秘・嘔吐・腹部不快感などがありますが、重篤な副作用としては急性膵炎や低血糖などがあげられます。では体のなかでどのように作用していくのか、確認してみましょう。



体内ではインクレチンと呼ばれるホルモンが作られ、GLP-1とGIPの2種類があり、中でもGLP-1は食事によって刺激を受けることで分泌(図①)され、血糖値を上げる作用のあるグルカゴンの分泌を抑えたりインスリンの分泌を促進することで、食後の血糖値の上昇を抑える働きをします。また、腸への食べ物の排出を抑制する作用や脳へ働きかけて食欲を減退させ摂食量を少なくすることで体重増加を抑える作用もあります(図⑥)。しかし、すぐにDPP-4と呼ばれる酵素によって分解されてしまう(図③)ので、役割を果たすことができずにいましたが、【GLP-1受容体作動薬】を投与する(図④)ことで、GLP-1は分解されることなく(図⑤)本来の役割を果たす事ができるようになります。

2型糖尿病の方に使われるお薬ですが、昨今では食欲を減退させることからダイエット目的で使用されるケースが増え社会問題となっています。適正使用ではないため全額自己負担となりますが、一番重要な事は、自由診療(健康保険が適用されない診療。承認されていない治療や薬を使用)であり、クリニックによっては問診だけで薬をお渡しし、定期便のように自宅に届くため、必ずしも医師が診察をして投薬しているという保証はないこと、万が一、重篤な副作用が生じた場合にも、適正使用とは認められず副作用被害救済制度による給付は得られないことを十分理解し自己責任で服用しなければならない。自身の行いによって、治療を必要とする人に薬が行き渡らない現状も理解し行動を見直す良い機会にしてもらえると嬉しいです。

すべての患者さんにおかれましては、本薬剤に限らず薬を服用し体調に異変を感じた場合には、服用を中止し必ず医療機関を受診していただくようお願い申し上げます。

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