転ばないための身体作り ~糖尿病編~
はじめに
皆さんは、ここ1年間で転倒されたことはありますか?
実は高齢者の3人に1人は1年間に1度以上の転倒を経験すると言われています。
環境や加齢による身体機能の低下、服薬の副作用などさまざまな要因があります。
転倒がなぜいけないのか?
転倒がなぜいけないのかというと、転倒をきっかけに寝たきり状態に陥ることもあるからです。若い人なら少しくらいけがをしたり病気にかかったりしても、安静にして寝ていれば大抵は治ります。
しかし、高齢者にとって過度の安静というのは、筋力や身体機能の衰えを招き、症状を悪化させる要因にもなります。
中でも転倒が原因で起こりやすい大腿骨頸部骨折は、骨癒合にも時間がかかり歩けるようになるまでになるまで、そのまま寝たきりになることも少なくありません。
骨折や、けががなかったとしても、転倒により自信を失ったり、自力で動くことに対して恐怖心を持ったりすると、体を動かさなくなり、筋力が次第に衰え始めて、身体機能の低下を招くこともあります。
このように転倒は、高齢者の生活に大きく影響することがあるため、十分な対策を取る必要があります。
高齢者の方が「要介護」となる主な原因は、脳血管疾患(脳卒中)、認知症、高齢による衰弱と続き、「骨折・転倒」は全体の4番目の多さになっています。
転倒により動けない状態が長く続くと、歩行機能が衰え、「要介護」となる可能性が高くなります。
転倒の原因である外的要因と内的要因
外的要因は環境が関係しており、濡れている床ですべったり、階段でつまずいたり、スリッパなど足に合っていない履物で滑るなどの原因があります。家屋内だと、ちょっとした段差やふすま、カーペットの端にひっかかり転倒することが多いようです。
また、足を踏み外しやすい階段や玄関、浴室などでは、重傷を負うおそれもあります。高齢者がいる家庭では、至るところに手すりを取り付けるなどして転倒予防をしておくことが大切です。
内的要因は、病気や疾患、加齢による筋力の低下、身体機能の低下が挙げられます。
他にも、薬の副作用による足元のふらつきや眠気、意欲の減退なども転倒の原因となります。高齢者は複数の薬を飲んでいたり、体調の変化を口に出したりしないこともあるので、副作用が出ていないかを周囲が注意しておく必要があります。
糖尿病と転倒の関係
インスリンは膵臓のランゲルハンス島から分泌される血糖を下げる唯一のホルモンです。糖尿病になるとインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。
糖尿病になると特有の初期症状が見られます。普段よりのどが渇き、たくさん飲み物を飲む。頻尿。比較的短期間での体重減少。疲れやすくなる等と、様々な症状がみられます。
糖尿病で高血糖の状態が続くと、細かい血管が傷つき糖尿病神経障害、網膜症、腎症といった三大慢性合併症を来します。
高齢糖尿病患者は糖尿病でない人と比較して転倒しやすく、転倒のリスク要因を多くもっています。
糖尿病患者は非糖尿病者と比べて下肢の筋量、筋力、筋肉の質が低下、また足部や足指の柔軟性が低下しやすいとされています。糖尿病患者、とくに末梢神経障害合併患者では身体能力、とくに歩行能力の低や、バランス障害をきたしやすく、それらが転倒につながりやすいとされています。
足や足指の柔軟性を保つ為の運動
自宅でも簡単に行える足指の体操を紹介します。
<足指の体操>
<足首の体操>
おわりに
人生100年時代といわれる今、ご自分の足で歩いて生活を送るという事はとても大切なことです。皆さんが健康で、少しでも長くご自分の足で歩いて生活を送れるようにサポートさせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。