血液透析におけるダイアライザの新しい機能分類について
今年の4月に薬科改定が行われ、ダイアライザの区分が改定されました。
平成27年度までは、血液透析(HD)に使用されるダイアライザは、β2-MGのクリアランスによって、Ⅰ型~Ⅴ型に分類されていました。(左記)
今回の改定によって下図のように通常型の4種(Ⅰa型、Ⅰb型、Ⅱa型、Ⅱb型)及び特殊型であるS型に分けられました。
Ⅰ型とⅡ型の境界は、β2-MGのクリアランスが70mL/分であり、従来のⅠ型~Ⅳ型はすべてⅠ型となります。
さらにアルブミンふるい係数0.03を境界としてa型とb型に分けられます。
ちなみにふるい係数とは、0~1の値を取って溶液の透過性を表す値です。係数が1に近ければ通り易く、0は全く通らないことを意味します。
つまりa型よりもb型はアルブミンを通しやすい膜と言えます。
新たに設けられた区分であるS型は、『生体適合性にすぐれる、吸着によって溶質除去ができる、抗炎症性、抗酸化性を有すること』と定義されています。
現状ではEVAL膜とPMMA膜のダイアライザが該当します。
PS膜(ポリスルホン)の普及に伴い、よりハイパフォーマンスなダイアライザを選択していく傾向にありましたが、今回新たな区分けが行われ、小分子やβ2-MGの除去性能、アルブミンがどれほど抜けるのかだけではなく、生体適合性やβ2-MGよりも大きいα1-MG、炎症物質の除去など、今まで以上に患者様個人に合わせたベストのダイアライザを選択していくことが重要であると考えています。