血液透析における透析液水質基準(2016年版)について
日本透析医学会より透析液水質基準(2016年版)が策定され、今年度より新基準に合わせた透析液の水質管理が必要となりました。主な変更点は、以下の内容になります。
透析用水作製装置の水質項目と適用基準の確認
水質は、「供給水源」「原水」「透析用水」に分けられ、各々水質項目と適用基準が定められました。
化学的汚染物質は、脳症、溶血性貧血、瘙痒症、心室細動などがあり、その他微量な物質による障害も報告されているため、透析用水としての適用基準が設けられました。
透析用水採取部位の変更
透析用水の採取部位が、透析用水作製装置の出口後に変更となりました。採取頻度については変更がなく3ヵ月毎、基準を満たしていない場合は1ヵ月毎の測定です。
エンドトキシン測定と生菌検査の測定頻度の変更
末端透析装置が1年間で全台測定を実施する事には変更はありませんが、毎月の測定に関しては2台以上の測定から1台以上を測定する事となり、測定頻度が軽減されました。
透析用水の総残留塩素濃度の確認
遊離塩素だけではなく結合塩素を含めた総残留塩素濃度を0.1mg/L未満を基準とする事になりました。塩素が血液中に混入した場合、溶血を発生する危険性があるためです。
透析液水質管理は、臨床工学技士の重要課題の一つとして取り組んでいます。今後も安全な透析治療を提供出来るよう新基準を含めた透析液の管理をしていきたいと思います。