検体検査部門
検体とは、患者さんの血液・尿・便などのことです。中央検査室では、血液や尿・便を分析して、診断・治療に役立つデータを報告しています。また、一般的な血液学・生化学・免疫血清学項目は至急対応できるように 30分以内で報告を出来るようにしてます。
- 一般(尿・便)検査
尿は血液が腎臓でろ過された老廃物として出たものです。尿中の成分(PH、糖、蛋白、潜血など)や細胞(赤血球、白血球、細菌、結晶など)を調べることで、いろいろな病態の判断に利用されます。特に、糖尿病、腎機能、 尿路の状態などがわかります。
便検査の潜血反応では大腸ガンの早期発見に役立ちます。他にトリコモナス、寄生虫の検査や、胸水、腹水、髄液などの検査も行っています。
尿定性検査機器
便潜血検査機器
- 血液検査・凝固検査
血液中の細胞(白血球・赤血球・血小板など)の数や形態の検査を行います。赤血球数が出血や生成不良などで減少すると貧血となります。 白血球数は風邪やウイルス感染、炎症反応などで値が変動します。血小板数が少なすぎると、出血傾向がみられます。また、顕微鏡を用いての形態観察では、白血病などの血液疾患の発見につながります。 凝固・線溶検査では出血や止血機構の異常があるかを検査します 。
末消血液検査機器
凝固血検査機器
- 生化学検査・血糖検査
血液中から液性成分(血清)を遠心分離して、酵素、蛋白質、脂質、無機質、糖質などの生化学的成分を測定することにより、肝臓や腎臓・膵臓など主な臓器の機能異常が推測・診断ができます。
自動分析装置の発達で、多くの項目をより早く正確に測定できるようになりました。
血糖とは、血液中の糖分のことです。血糖値は糖尿病を調べる上で、重要な検査項目です。
自動分析装置
血糖検査機器
- 免疫血清検査・インフルエンザや細菌簡易検査
体内に細菌やウイルスが入ると、抗体が産生され、体を守ろうと働きます。血液中に感染によって生じた抗体があるかどうかを調べ、病気を診断する検査です。他に感染症スクリーニング(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV)などの検査も行っています。
インフルエンザを疑った時、インフルエンザ簡易検査を行います。その結果、インフルエンザを早く診断できて、早く治療が出来ます。
感染症検査機器
インフルエンザ・肺炎球菌簡易検査
- ヘモグロビンA1c検査
糖尿病の治療やコントロールのために、空腹時の血糖値が測定されますが、この血糖値は「採血した時点での血糖状態」のみを知ることが出来ます。病気の状態が不安定な人や血糖値の1日の変化が大きい人などには、血糖値だけでは適切な治療やコントロールは出来ません。
そこで、血糖測定と組み合わせて“ヘモグロビンA1c”の値を測定することがとても重要になります。ヘモグロビンA1cの値は、過去約1~2か月間の平均的な血糖値と深い関係があり、体内で赤血球の生きている期間と関係しています。
ヒトの赤血球は、平均して120日間にわたって体内を循環しますが、血液中にはいつでも多少のブドウ糖があり、赤血球のヘモグロビンは生きている期間(赤血球の寿命)に比例して少しずつブドウ糖と結びついて血球内に備蓄することになります。そして、赤血球の新しいものと古いものとの交代は毎日1/120ずつ新しい血球が作られて入れかわることから、全体としてのヘモグロビンA1cの値は、平均的な赤血球の寿命(約120日=4か月)の半分にあたる時期の平均血糖値に相当することから、ヘモグロビンA1cを測定すると、赤血球の寿命(4か月)の平均となる今から約1~2か月前の血糖値をもっともよく反映することになります。
ヘモグロビンA1c値は、検査の前に、食事をガマンして血糖値を下げたとしても、すぐには下がったりしませんので糖尿病の治療やコントロールに最適と考えられます。
当院でも平成20年4月より院内検査を開始して30分以内での報告が可能となりました。特定健診の健診項目として当院は採用しており、誤って食事をされてしまった方でも糖尿病の評価が可能となるなど、今後の糖尿病の早期発見・治療に役立てています。
HbA1c検査機器